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子ども時代に「酒場」で教わったこと

かねてより
「躾ができていない子供を、グリーン車に乗せないで」が持論だけれど、
通路をはさんだふたり旅の母親と男の子、
「旅慣れてるとは、こういうことか!」と感動てしまうマナーの良さ。
東京から横浜を過ぎたあたりで親の分までお弁当を小さく広げ、
ペットボトルのふたを開けてお母さんに渡し、
食べ終わったら、さささっと静かにまとめてゴミ捨てへ。

まだ小学3年生ぐらい?ですが、
すっかり見惚れてしまいました。

「子どもに歩み寄って遊ぶ」ということが
一切できない父に連れられて
寿司屋、居酒屋、スナックと
幼児の頃から、大人の夜の世界に顔を出していました。

幼稚園の発表会では、なぜか演目が「ソーラン節」で
酒場で披露するとおおいに受け、おひねりをいただくことも。
でも、走り回ることはもちろん、騒ぐこともなかった。
家を出る前に父が決まって言う
「大人の場所に行くんねんで」の言葉そのままに、
ニコニコ笑顔でおひねりをくれるお客のおじちゃんたちが
「ここは大人の世界や」という合図を折々に出していたから。

「まさか騒ぐんじゃないだろうな」
「静かにできないなら、そもそも連れてくるなよ」と。

そういう世界が嫌いではなかったので
「帰るぞ」と言われるまで「帰りたい」とグズつくこともなく
カウンターでとても下まで届かない足を
ぶらぶらさせながら、静かに座っていました。
大人たちが歌っている濃~い(ちょっとエローい)歌を覚えて
口ずさんで母を絶句させたことも。

香水のにおいをさせた巻き髪のお姉さんがキラキラしていて
「おねえさん、きれ~い」と言うと、
よそのおじちゃんが耳元で「夜見るからや~」。

寿司屋でトロと雲丹を頼む小学生の兄に
「子どものくせに贅沢な」
「自分で稼ぐようになったら頼め」と遠慮なく言う板さん。
おしんこやカッパを頼む私は「子どもらしくていいねぇ」と褒められたけれど
まだ味覚が幼なすぎて、生魚のおいしさがわからなくて…。
家族でファミリーレストランや回転ずしや王将に行く、という
同級生の休日のほうがまぶしい憧れで、
免許を取って自分の車を手に入れた頃は
嬉しさのあまり、よくファミレスに行ってました。

小学生の時から働いて家計を担っていた父の口癖は
「子どもが、よそで調子に乗ったらあかん」。
その父の、友人でも身内でもない、
お店にたまたま居合わせただけの客たちは
今思えば、とても正しい大人だったと思うのです。